作者松井優征

ジャンプ・コミックス
週刊少年ジャンプ連載

前作である初連載作「魔人探偵脳噛ネウロ」の頃から好きな作者の作品だから結構応援したい。

この作品のあらすじとしては、
突然月が破壊され半分になった。そして月を破壊した謎の超破壊生物は、進学校である椚ヶ丘中学校の3年E組の先生になることを希望し条件付きで認められた。E組は「エンドのE組」と呼ばれていて、進学校のなかの落ちこぼれクラスであり、山の上の隔離校舎に追いやられて本校の生徒や教師に差別されているという環境。そんなクラスの担任となった超破壊生物は来年の3月に地球も月と同様に破壊するつもりであり、E組の生徒はこの超破壊生物から授業を受けながら、その期限までにその生物を暗殺しないといけない。

文字に起こしてこうして見るとなかなかに物騒な話でシリアスだらけになりそうだが、実際は暗殺を試みながらもギャグも入れていてあっさりと読める。単行本化でネウロの頃のように、合間合間のページにキャラのプロフィールが書いてあったりとしっかりと単行本ならではの価値があると思う。烏間の犬好きなのに嫌われるというのや、渚の100億円を手に入れたら身長を買いたいってのがあったりして楽しい。話中の小ネタやこういうプロフィールネタなどが相変わらずあるのが嬉しい。ちなみにプロフィールは殺せんせーと渚と烏間のが載っていてる。
その一方で、ネウロの頃のような強烈な毒気はあまり出してないから、そっちを求めている人には物足りないかもしれない。

そして作中で烏間が言っている、中学生が嬉々として暗殺を語って計画しているという異常な状況なのに、本校の他クラスの生徒よりもE組の生徒の顔が一番活き活きしているという言葉がこの作品の本質を表していると思う。物語自体の目的ははっきりしているし、その目的に向かって生徒たちは行動している。そのなかで、「エンドのE組」という環境に堕ちた生徒の精神の成長というか自信付けがなされていっている。殺せんせーは標的であるとともに教師であり、生徒たちも暗殺者であるとともに生徒であるという立ち位置が良い。前作のネウロでも人間賛美がテーマのようになっていたと感じたが、今作もそれに近い雰囲気がある気がする。

以上のようにとりあえず1巻の感想としては、充分期待できる作品だということ。話も小ネタなどのおかげでテンポ良くて読みやすいと思った。登場キャラクターも不快感をもつのは出ていない。殺せんせーのキャラも親しみやすいし、渚もカワイイし(ちょっと待て

最後に殺せんせーの正体について考察とまではいかないが少し考えてみる。生まれも育ちも地球という言葉や回想を見るに、元々は人間だった可能性は高いと思う。周りの背景や抱きかかえていた女性の格好などから研究室のようなところでなんらかの実験の失敗に巻き込まれた辺りが予想の本命か。
そこで気にかかるのがその女性の言葉。素敵な触手で素敵な教師になれるというのはどういう意味だろうか。普通に考えれば触手と教育の関連性は思いつかない。また、あの子たちを教えてあげてというセリフがあるから、この女性はE組のことを知っているということになるので、学校関係者なのだろうか。E組を気にかけているのだから、E組出身者かそれ以外でもなにかしらの関わりはあったのかもしれないな。

暗殺教室 2巻感想はこちら

松井優征先生の前作「魔人探偵脳噛ネウロ」1巻の感想はここ


前作「魔人探偵脳噛ネウロ」の1巻はこちら↓